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経済

《企業研究》野村證券

投資家を「餌食」に荒稼ぎの悪辣

2016年4月号

「一体、東芝からいくらむしり取る腹積もりなのか」。金融界では妬ましさ交じりにこんな声も飛び交っている。
 三月に入って一気に加速した東芝の“解体ビジネス”。白物家電事業などを展開する東芝ライフスタイルの株式の過半を中国の家電大手「美的集団」に売却する一方、医療機器子会社、東芝メディカルシステムズ(栃木県大田原市)の総額六千六百五十五億円でのキヤノンへの譲渡も決まった。今後もパソコン事業、持ち合い株や工場・土地などの保有資産が続々と放出される見込みで、まさに「切り売り」(電機大手関係者)が進む。
 こうしたなか、その裏で「しきりと暗躍している」(メガバンク幹部)とされるのが、東芝の主幹事証券となっている野村證券だ。
「いつの間にここまでがっしり食い込んでいたのか。ほとんどすべてのディールが野村のプランの下に動いている感じだ。ウチがどんなに東芝側に有利となるような事業譲渡案や資産売却策を持ち掛けてもまるで取り合ってもらえない」
 みずほ銀行が準主力行となり、自身も筆頭副幹事をつとめるみずほ証券の幹部は野村のしたたかさに切歯扼腕・・・