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政治

安倍が密かに謀る労組「連合」分断

旧同盟系「切り崩し」で民進党に打撃

2016年4月号

「(企業は)空前の利益を上げており、もう少し期待していたのも事実だ」
 安倍晋三首相は三月二十三日の参議院総務委員会でこう述べ、今年の春闘で自動車や電機など大手企業でベア(ベースアップ)が前年実績を下回ったことに不満を隠さなかった。
 安倍首相が率先し、政府が経済界に賃上げを促す「官製春闘」も三年目となり、すっかり定着した感がある。ただ今年は、最大手のトヨタ自動車が月額三千円のベア要求に対し、一千五百円を回答するなど、ベアは過去二年に比べ小幅回答が多くふるわなかった。
「トヨタの豊田章男社長には困っている。アベノミクスで莫大な利益を上げたくせに、ベアには後ろ向きで『こっちも大変なんですよ』などと言う。下請けには厳しいし、気前がよくない」
 安倍首相は今年一月には周囲にこう漏らしていたが、このときの懸念は的中した。三年連続でベアが実現した意義は小さくないものの、マスコミでも「春季労使交渉は力強さを欠く結果となった」(三月十七日付日本経済新聞朝刊)などと評判はいまひとつの春闘となった。だが、中にはこう高く評価する声もあった。
「過年度物価上・・・