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政治

「ヒロシマ」を巡る日米の深い溝

オバマ「被爆地訪問」の高いハードル

2016年4月号

 安倍晋三政権が強調する日米関係の深化というストーリーとは裏腹に、歴史観の溝の深さが浮き彫りになっている。日本で開かれる一連のG7(主要七カ国)会合の先陣となる、広島市でのG7外務大臣会合(四月十日、十一日)の準備作業のことである。
 夏の参院選後の内閣改造で交代すると見られる外務大臣の岸田文雄にとって、地元・広島でのこの会合は格好の花道だ。戦後初めて、米国の現職国務長官が広島を訪れる機会を、「ポスト安倍」を視野に自らのリベラル路線と平和主義をアピールする場にしたいというのが、岸田の「思い」だ。
 米国の歴代政権は、広島、長崎への原爆投下について一切の謝罪を拒否し、これがなければ「日本全土の沖縄化」(原爆投下を指示した大統領ハリー・トルーマン)によって日米双方でおびただしい戦死者が出たとして、「正しい選択」だとする立場を崩していない。米政府の高官が広島訪問を避けてきたのは、「軍人や軍施設のみならず、多数の一般市民が犠牲になることを承知で行った無差別殺戮」と批判する内外の勢力を刺激したくなかったからだ。現国務長官のジョン・ケリーが広島を訪れるだけでも歴史的出来事だ。そ・・・