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習近平独裁は「砂上の楼閣」

党内抗争と経済危機で苦悶の「皇帝」

2016年4月号

 習近平中国国家主席は就任以来、反腐敗キャンペーンに乗り出し、中国共産党の大物幹部の摘発で権力基盤の強化に邁進してきた。同時に、軍部を掌握しようと人民解放軍の組織改革に着手。政府に対する言論封殺にも余念がない。悠久の歴史を誇る彼の大国で、もはや怖い者なしの独裁者と国内外で認識されているが、内実は全く違う。共産党中央宣伝部は虎視眈々と習近平の失脚を画策して、実際にそれを裏付ける動きが顕在化。面従腹背だった李克強首相が辞任カードをちらつかせながら、反旗を翻す時機を慎重に見極めているとの観測も絶えない。折しも、世界の工場としてフル稼働してきた中国の経済には暗雲が立ちこめている。党内抗争と経済崩壊の危機を内包する砂上の楼閣は、いつ崩壊しても不思議ではないのだ。
習一派と中央宣伝部の暗闘
 その事件が起きたのは、北京の人民大会堂で全国人民代表大会(全人代)が開幕する前日の三月四日深夜のことだった。
「習近平同志に党と国家の職務を辞するよう要求する―忠誠なる共産党員」という公開書簡が中国・新疆ウイグル自治区のインターネットサイト「無界・・・