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社会・文化

税金は子供のためにこそ使え

三木義一(青山学院大学学長)

2016年4月号

―「保育園落ちた日本死ね!!!」の匿名ブログが話題になりました。税制から見ると、今の日本は子供を育てにくい社会なのでしょうか?

 三木 それは間違いない。政府は「一億総活躍社会」と言いながら、とても痛いところを突かれたので、この問題から逃げようとしたのだろう。
 税制には本来、国内の経済格差を是正し、社会を安定させる役割がある。ところが、今の日本では税金による所得再配分機能が非常に低く、先進国でも最低水準になってしまった。若い人の所得格差が広がっている。それなのに、保育園だけでなく、学校教育、大学教育でも個人の負担が大変に大きい。
 日本は昭和四十年代には、個人住民税と所得税で最高税率が八〇%を超えていて、累進効果もあった。その後、自民党が「減税」を繰り返したので、所得再配分機能はどんどん失われてしまった。専門家の間では、「累進課税復活」を求める声もある。
 ―子育て支援では、政府は何ができるのでしょうか?
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