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社会・文化

「税逃れ指南役」は国税OBだらけ

「パナマ」だけでない租税回避の横行

2016年5月号

 パナマ文書の余波が確実に広がり、世界中で騒動になっている。合法的な節税とみられる案件も含まれているが、金持ちだけが課税を逃れられるシステムそのものに怒りの矛先は向いており、違法か否かはもはや問題ではない。
 約四百の日本人や日本企業の名前がリストに掲載されていると報じられているが、現時点で明らかにされているのは警備会社大手のセコム創業者(故人)とその一族だけである。このほか、二〇一三年に出た「オフショア・リークス」で取り沙汰された企業名がネット上で出回っているが、これらが果たして税逃れであるか否かは三年経った現在でも結論が出ていない。
まんまと国外に逃げた三十億円
 しかし、日本の個人や企業の中に、海外の法人を利用した資金逃避をしているものは確実にいる。そうした税逃れ術を指南しているのは、弁護士や税理士だが、ある開業税理士が「許せない」と語るのは、国税庁のOBである。「最強の国家権力」と称される国税の一員として、税金を取り立てていたにもかかわらず、辞めた途端、「国民の敵」として税逃れに加担しているというのだ。中には、今回・・・