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経済

「死んだふり」の 三菱商事

商社は伊藤忠との「二強時代」へ

2016年5月号

 その鮮やかな“対照”は何を物語るのか―。三菱商事の多くの部長級幹部からは悲哀の声が聞こえてくる。
「新聞や雑誌に赤字の記事が出るたびに『うちの家計はどうなるの!』と、女房に責められるよ」
 資源価格の急落を受け、同社が二〇一五年度期末決算(連結)に四千三百億円もの減損損失計上を余儀なくされ、純損益が三千億円の黒字見通しから一転一千五百億円の赤字に沈むことは、産業界に大きな波紋を与えた。創業以来初の赤字転落は三井物産も同じ(七百億円)だが、総合商社トップの座を前期まで十六年堅持してきた三菱商事が、五大商社最下位はおろか、双日、兼松にすら水を開けられる事態は尋常ではない。
 三月二十四日の巨額減損発表の時点で、全執行役員の夏の賞与は支給ゼロに決まった。小林健社長(現会長)は本給を含めた年収の五割を返上、またエネルギー担当副社長だった柳井準氏、金属担当副社長だった衣川潤氏は三割を返上する。両氏は六月の株主総会後に退任するため、四千万円超の返上分は役員退職金で精算することになる。社員も資源部門の幹部は安閑とはしていられない。
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