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経済

三菱UFJはいまだ「女性役員ゼロ」

トップバンクで続く「蔑視と差別」

2016年5月号

  三井住友銀行四・三%、三菱東京UFJ銀行〇%、みずほ銀行〇%、りそな銀行〇%……。金利の話をしているのではない。全役員(除く執行役員)に占める女性役員の比率を示す値だ。
 金融庁が「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」を施行し、二〇一五年三月期以降に作成する有価証券報告書から「役員の状況」欄に男女別の役員数と女性役員比率を明記するよう義務付けたのは一四年十月のこと。安倍晋三政権が進める女性活躍推進策の一環で、女性登用の「見える化」を促すものとされた。
 これにいち早く反応したのが三井住友銀行(SMBC)だ。米化学品大手の日本法人、スリーエムジャパン(旧住友スリーエム)の常務執行役員をつとめる中平優子氏に狙いを定めて猛然とアタック。一五年六月、現職のまま社外取締役として迎え入れたのだ。
「極めて公益性の高い銀行、しかもメガバンクの一角として『ゼロ』では余りにお粗末。そのうえ有報でわざわざそれを明記させられるとあっては無視できない。わずか四・三%とはいえ、ゼロとの差は無限大だ」。みずほ銀(BK)や・・・