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米国はサウド家を見放すのか

よろめくスンニ派盟主の「命運」

2016年5月号

 二〇〇一年の同時多発テロの犠牲者遺族らが望めば、米国内でサウジアラビアを相手に訴訟を起こすことができるようにする法案が米上院司法委員会を通過した。四月十九日、ニューヨーク・タイムズ紙はこの議会の動きに強く反発するサウジが、もし、議会が同法案を通過させれば、保有する数千億ドル(数十兆円)の米国資産を売却すると脅していると報じた。オバマ政権はこの法案に当初から重大な懸念を表明、議会が賛成しないよう根回ししていると。
 ところが、「オバマ政権は国民をないがしろにしてサウジ(のようなテロ国家)の肩を持つのか?」といった強い批判に晒されているとのこと。9・11事件後、十九人の容疑者中十五人までがサウジ国籍であったことから同国への嫌悪感はピークに達し、留学生の受け入れが激減するなど両国の関係は著しく悪化した。その後表面的には修復したように見えて、米国市民の一般的感情はどうかと改めて問えば、過激な宗教教義に支配された独裁王制国家、世界各地でテロに資金を提供するような国家となぜ米国は同盟しているのか?ということらしい。
「利害の一致」がほぼ消えた・・・