米国こそ世界最大の「租税回避地」
「パナマ文書」が隠す不都合な真実
2016年5月号
「パナマ文書」の暴露によって、タックスヘイブン(租税回避地)の問題が改めてクローズアップされた。だが、同文書をめぐる騒動が、世界の税問題の核心を隠蔽したことは全く注目されていない。それは、米国こそが今や世界最大のタックスヘイブンであるという事実だ。米政府は近年、スイスなどかつての著名なタックスヘイブンを戦略的に解体し、自国にカネを吸い上げる仕組みを築く一方で、米国を本拠地とする多国籍企業の租税回避を支援してきた。欧州連合(EU)は米国と米企業の独走を阻止しようと、域内の税制改革に乗り出しており、世界の租税戦争は一挙に激化する情勢だ。
クリントン夫妻も国内で税逃れ
米国の首都ワシントンと経済の中心地ニューヨークのどちらからも、車で約二時間。米東海岸を南北に貫く高速道路「I-95」沿いに、デラウェア州最大の都市ウィルミントンがある。「最大」と言っても人口七万人。一般のドライバーは何も気付かずに通り過ぎる。
そのビルがあるのは、高速道路のウィルミントン出口から五分足らずのところ。「ノース・オレンジ・ストリート一二〇九番地」・・・
クリントン夫妻も国内で税逃れ
米国の首都ワシントンと経済の中心地ニューヨークのどちらからも、車で約二時間。米東海岸を南北に貫く高速道路「I-95」沿いに、デラウェア州最大の都市ウィルミントンがある。「最大」と言っても人口七万人。一般のドライバーは何も気付かずに通り過ぎる。
そのビルがあるのは、高速道路のウィルミントン出口から五分足らずのところ。「ノース・オレンジ・ストリート一二〇九番地」・・・