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《世界のキーパーソン》 クリストフ・ドロワール(「国境なき記者団」 事務局長)

「報道の自由」順位は客観的なのか?

2016年5月号

 「報道の自由」で七十二位―。四月下旬、衝撃的な見出しが躍った。国際NGO「国境なき記者団(RWB、仏語RSF)」が毎年発表する「報道の自由度ランキング」の最新版で、日本は前年の六十一位から十一も順位を下げたのである。特定秘密保護法の成立、調査報道の不足、マスコミが報道を自主規制することが理由とされた。
 もっともな指摘ではあるが、七十位台に、韓国、タンザニア、レソト、アルメニア、ニカラグアと並ぶのを見ると、「いったい調査基準は何なのか?」と疑問に思う読者もいるだろう。英公共放送BBCは日本より上位のタンザニアについて、「メディアの規模は小さく、多くは国営」と評する。
 ドロワールは二〇一二年、RWBの三代目の事務局長に就任した。組織は一九八五年、フランスで創設され、今も本部はパリ。過去二人の事務局長もフランス人。国際NGOの先輩にあたる「国境なき医師団」(七一年創設)がその名の通り、全世界に広がったのと比べると、RWBは未だにフランス色を強く残す。
 現事務局長は七一年生まれ。仏エリート校グランゼコールの一つ「エセック(ESSEC)ビジネススクール」を卒・・・