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米国経済は統計以上に「盤石」だ

マーティン・フェルドシュタイン(元アメリカ経済学会会長)

2016年5月号

―現在の米国経済をどう見ていますか。
 フェルドシュタイン いい状態にあると思う。失業率五%は事実上の完全雇用と言える。コアCPI(消費者物価指数)は二・二%で、連邦準備制度理事会(FRB)が望む水準だ。
 成長率は二%程度だが、実際の経済は統計よりずっと良い。原油価格下落で、米国内のエネルギー業界は石油掘削を手控え、関連産業の生産も減ったため成長の足を引っ張っている。だがこれは一時的な調整だ。むしろ、家計は安い原油価格によって可処分所得が増え、さらなる消費増が見込まれる。
 グーグルやフェイスブックも好調なのに、インターネット企業は直接消費者と売買しないので、GDPに含まれない。ハイテク産業の業績を正確に反映すれば、数値はもっと良くなる。
 ―好調の原因は何でしょうか。
 フェルドシュタイン FRBの量的金融緩和(QE)がうまく機能したと思う。QEで株価が上がったことで消費者の懐が豊かになり、「家計資・・・