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社会・文化

東京五輪招致は やはり「裏金まみれ」

鍵を握る電通スポーツ事業の「ドン」

2016年6月号

 「スポーツ局の人間がバタバタしていて、動揺が見て取れた」
 広告代理店・電通の社員の一人は、今回の東京オリンピック招致疑惑報道後の社内の様子についてこう語る。五月十二日、東京への招致のための不明朗な資金の流れについてフランス司法当局が捜査していることが明らかになり、日本でもニュースになった。
 東京汐留の電通本社ビル。この六階にある一部署、スポーツ局が日本のスポーツ利権を牛耳ってきた「マフィア」の総本山だ。しかし、この場所に「ドン」はいない。
 現在、東京五輪・パラリンピック組織委員会の理事を務める元電通マン、高橋治之こそ日本のスポーツ・ビジネスを取り仕切る人物であり、今回の裏金疑惑の鍵を握る「重要参考人」だ。
高橋治之が育てたビジネス
 高橋がオーナーを務める店が六本木のアークヒルズ一階にある「ステーキそらしお」だ。黒を基調とした落ち着いた内装の店内では、高級肉が供される。一角に設けられたバーエリアの壁には、一九三〇年にウルグアイで開催された第一回大会など、過去すべてのサッカー・ワールド杯のポスターが並ぶ。入手困難な古いも・・・