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米国「一兆ドル」核兵器開発が進行

オバマ「広島演説」は壮大なる欺瞞

2016年6月号

 五月の訪日で被爆地・広島を訪問し、日本国民に大きな感動を与えたバラク・オバマ米大統領が、自国内でひそかに核兵器近代化を進めている。現有の核兵器搭載ミサイルをより小型化し、新たな運搬手段によって機動性を高めるもので、向こう三十年にわたって一兆ドル(約百十兆円)もの開発費を要すると見込まれている。「核兵器のない世界」を改めて唱えた大統領は、それをいったいいつ頃までに実現するつもりなのだろうか。
新開発ではなく「再構成」?
 オバマ大統領の広島演説は国内外に強い感銘を与えた。
 大統領は「広島、長崎で、第二次世界大戦は極めて残忍な形で終わった」とした上、これを「人類の道義的な目覚め」とし、「核保有国は、核兵器のない世界を追求しなければならない」と訴えた。「反省」や「謝罪」を巧みに避けながら、被爆国である日本人にもある種の感銘を与えるという、バランス感覚に富んだものだった。
 だが、華やかな外交ショーの陰では、日本人はもちろん、ほとんどの米国人も知らないところで、米国の核兵器に関する数十年に一度の大変革が始まっていた。・・・