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政治

《罪深きは この官僚》藤井直樹(国土交通省自動車局長)

燃費不正問題で 「早期幕引き」を画策

2016年6月号

 三菱自動車工業の燃費偽装問題の余波が収まらぬうちに発覚したスズキの燃費不正。各社が鎬を削ってきた「燃費」の闇の深さを感じさせたが、所管する国土交通省は、早くも火消しに走っている。
 五月十八日午後四時から国交省内で開かれたスズキの記者会見では、冒頭、同社会長の鈴木修が「お詫び申し上げる」と深々と頭を下げた。しかし、それに続くスズキ側の説明は、記者の予想を裏切り、「三菱自が行った偽装ではなく、正しい方法で測定しなかっただけだ」という説明に終始した。対象車種の販売は続け、鈴木はもちろん担当者への処分も行わないというから、追及しようと意気込んで集まった記者は拍子抜けした。
 このスズキの姿勢の裏には、国交省という強力な後ろ盾がある。今回の不正は、三菱自問題を受けて国交省が各メーカーに要請した調査によって判明した。国交省はスズキに説明を求めたが、「同省担当者は『記者会見では三菱自との違いを強調しろ』と指示を出した」(経済部記者)というのだ。スズキはこれに従い、冒頭の謝罪以外は開き直りともとれる会見を行ったのである。
 メーカーからの燃費申告などを直接担当している・・・