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政治

げに破廉恥なる 「ポピュリズム国会」

与野党「選挙目当て」競争の亡国

2016年6月号

 緊急事態を理由に認めた「例外」が「前例」となり、いつしか「常態」になることがある。例えば野党が、自民党憲法改正草案の緊急事態条項を「いったん例外措置を発動した後の歯止めが不十分」と批判するのは、歴史上の悲劇がしばしば、「例外」から始まっていたからだ。その議論の空虚さが鮮明になったのは、熊本地震への対応で政府・与党が求めた巨額の「つかみ金」を、野党が積極的に認めた瞬間だ。選挙目当てに原則も曲げるポピュリズムの病弊が、安倍晋三政権はもとより、共産党を含めた野党にも蔓延し、政界全体を蝕んでいる。
「見せかけの実績」作りが優先
 五月十六日、熊本地震を受けた二〇一六年度補正予算案が衆議院予算委員会の全会一致で可決された。「原理主義者」のあだ名を持つ民進党代表の岡田克也は「問題はあるが、参議院選挙もあり、やむを得ない」と繰り返し、「原理」からの逸脱を不問に付したことを認めた。問題とは、合計七千七百八十億円の歳出のうち、実に七千億円が「予備費」である点だ。
 憲法は、災害などに備え、あらかじめ使途を定めず、事後に国会承認を得る予備費・・・