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WORLD

アジアが震える米国「孤立主義」

「トランプ政権」なら世界はどうなるか

2016年6月号特別リポート

 「日本は過去に急激な方向転換を二度やっている。すなわちペリー提督が日本を開港させたのち、封建制度から天皇崇拝に転じ、また第二次世界大戦に敗れたのち、天皇崇拝から民主主義に転じた。いずれの場合にも、この変化を生み出したのが哲学的確信に基づいたものだったと言い切ることはできない」―いまから四十六年前の一九七〇年にニクソン政権のキッシンジャー大統領補佐官が、米西部主要メディアの幹部に国際情勢の説明を行ったときの、日本に関する部分だ。二千年を超える日本の歴史については無知であるうえに、日本の「解放者」は米国だと言わんばかりの傲慢さは鼻持ちならないが、戦後にどっぷり漬かってきた日本の変革を促す国はアジア大陸のどこかではなくて米国なのかもしれない。
一貫性を欠く「外交演説」
 米共和党の大統領候補指名を確実にした不動産王のドナルド・トランプ氏を支持するメディアは米国内外でも少ない。人権、宗教、性、同盟関係などに関する、絶対に口にしてはならない禁忌のすべてを彼は犯した。トランプ氏はポピュリストだとのレッテルを貼られているが、ポピュリストは国内外・・・