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経済

金融緩和こそ世界経済乱調の「主犯」

スティーブン・ジェン(英ヘッジファンド創業者)

2016年2月号

―世界の市場が年明けから大混乱です。何が起きているのでしょうか?

ジェン 私は一部の人が考えているほど、今の世界経済の状態が悪いとは思っていない。確かに公的部門の債務が膨らむなど、マイナスの側面もある。だが、中国経済の成長率鈍化を懸念するのは、過剰反応だ。過去十~十五年間の中国の急成長を、どれだけの人が予測しただろうか。この間に中国は特定分野に投資が集中して、多くの非効率や逸脱が起こった。習近平政権は過去の政府のようなバラマキではなく、経済改革によって問題を克服しようとしている。中国の減速はむしろ、世界経済にとって「良いニュース」と受け止めるべきだ。中国の人たちは、外国の人たちほどパニックになっていない。彼らは軟着陸させようとしているだけだ。日本に比べれば、中国の発展度は到底及ばない。中国の成長はまだ無限と言って良い。

―では、何が原因で世界の株式市場は乱高下しているのでしょうか?

ジェン