垢抜けない日本の「招宴外交」
ワイン専門家の「不在」が致命的
2016年1月号
伊勢志摩サミットは今年前半の重要な外交日程だが、日本政府の招宴外交は心もとない。とりわけ、ワインについては、米国や英国に大きく後れをとっている。
代表例の一つが、一昨年四月にオバマ大統領を迎えた宮中晩餐会だ。供されたワインは、ドン・ペリニヨン一九九八年、ルイ・ラトゥールのコルトン・シャルルマーニュ一九九九年、シャトー・マルゴー一九九四年の三銘柄。国賓はフランスワインで遇するという、明治以来の伝統に固執する宮内庁の硬直化したもてなしだった。あるワイン業界関係者は「ホスピタリティに欠ける。自分勝手な様式を押しつけているだけ」と批判し、「ホワイトハウスなら、大塚食品の所有するリッジ・ヴィンヤーズが選択肢の一つだろう」と語った。リッジはカリフォルニアを代表するワイナリーだ。
ワイン外交は相手が喜ぶ銘柄の選択から始まる。ホワイトハウスはゲストの国と縁の深い米国産ワインを公式晩餐会でサーブする。昨年四月に訪米した安倍晋三首相には、地元・山口県の日本酒「獺祭」と、カリフォルニアで唯一の日本人女性ワインメーカー、アキコ・フリーマン氏が造るフリーマン・ヴィンヤードの「Ryo―fu シャ・・・