農水省が「解体・消滅」する日
安倍「農政叩き」の総仕上げ
2016年1月号
毎年一月一日、皇居で開かれる新年祝賀の儀には、首相、衆参両院議長、最高裁長官らとともに閣僚たちも招かれる。しかし比較的近い将来、宮中祝賀に農林水産相の席はないかもしれない。
二〇一四年四月、オバマ大統領の来日と前後して日米両政府は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)について協議を重ねた。安倍晋三首相は二十三日にオバマ大統領を東京・銀座の寿司店に招き、一時間半も膝詰めで協議して「合意の大枠」ができあがった。コメは国家貿易を維持して関税削減の対象外とすること、牛肉・豚肉の関税は大幅に引き下げることなど、焦点だった農畜産物分野の市場開放に関する合意に向けた大枠はほぼできあがった。
ただし、あくまで「合意の大枠」であり、この時点で日米双方はそれぞれ「宿題」を抱えており、合意は何一つできていなかった。日米は互いの与党内にTPP反対勢力を抱えており、「合意の大枠」を「大枠の合意」にするためには再交渉、つまりカードの切り直しがないことを担保する必要があった。
具体的には、日本側は改正農協法を成立させて、TPPに反対する全国農業協同組合中央会(JA全中)などJAグループを弱体・・・