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難民で「成長」するヨルダン

人口も経済も上昇させる「高徳な小国」

2016年1月号

 ヨルダンでは昨年十一月、およそ十年ぶりの国勢調査が行われた。調査結果は本稿執筆時点でまだ発表されていないが、前回二〇〇四年調査時の人口約五百十万人から大幅に増加し、およそ九百万人に迫るのでは、と予測されている(一説には一千百万人)。そのうち、約二百五十万人は非ヨルダン人で、戦乱を逃れて流入した近隣のシリアやイラク出身者が多い。  国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、ヨルダンには一五年一月時点で難民登録したシリアからの難民は約八十一万人いて、この数が同年十二月には約百万人になったと推定している。これは、あくまで「難民」の数で、正式に外国人登録して支援を受けることなく生活できている人や、以前から定住しているシリア人を入れると百三十万~百五十万人ほどのシリア人が九百万人弱の人口の中に含まれている、という計算になる。  シリア人以外では、十年前の戦争で難民化したイラク人、エジプト人、パレスチナ人などが多い。  国連の統計によると、一九八〇年のヨルダンの人口は僅かに二百十八万人であった。これが三十五年間(一世代と言ってよいだろう)の間に、四倍に増えたのだ。その理由・・・