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WORLD

「クルド独立」容認に傾く米欧

「IS打倒」への協力と引き換えに

2016年1月号

 中東の焦点が「イスラム国(IS)」との戦いに絞られる中で、各国に点在するクルド人勢力が米欧の重要なパートナーとして地歩を固めている。オバマ政権は「クルド独立」を認めない方針を変えていないが、イラクのクルド自治政府(KRG)、シリアのクルド人地区は中央政府から離れて完全自治に近づいている。共和党が支配する米議会では、クルド人を後押しする政策が急速に支持を集めている。  昨年暮れの米政界で、「クルド人」が突然流行語になった。 「クルド人は我々にとって最強の味方である」(共和党のジェブ・ブッシュ候補) 「クルド人勢力は勇敢に自分たちの土地を守り、ISから町を奪還している」(民主党のヒラリー・クリントン候補)  米国の海外関与を嫌うランド・ポール候補さえ、「クルド人は武器供与に値する」と述べた。 「大統領候補としては、『米地上軍を現地に送る』と言えないから、『クルド人、がんばれ』の大合唱になる。米国にIS打倒策がないことの裏返しなので、情けないのですが」と、安全保障担当の米国人記者は言う。 事実上の軍事同盟扱い  米国では十二月二日、カ・・・