大富豪「フォーブス家」の没落
番付誌も「売却」で哀れな近況
2016年1月号
大富豪ドナルド・トランプが米大統領選で旋風を起こす中、二十年前に同様の挑戦をして失敗した別の富豪、スティーブ・フォーブスが重大危機に直面している。富豪番付『フォーブス』誌の総帥は昨年、香港を拠点とする投資家に出版事業の大半を売却したものの、カネを滞納され訴訟騒ぎになった。すでに本社屋など大半の家産を手放し、華麗なる名門は風前の灯だ。
買収企業との奇妙な訴訟
今冬の米国の書店は、大統領選一色だ。トランプものやヒラリー・クリントン前国務長官ものに加え、テッド・クルーズ上院議員や元神経外科医ベン・カーソンの著書が山積みだ。「候補者自身が自著の売り場面積を増やそうと、大量に買ってくれるので、出版社は大喜び。『なんでこんな本が?』と思うような本も並んでいる」と、在米邦人特派員は言う。
そんな中、フォーブスの最新著『アメリカ再生』が年末に発売された。昨年六十八歳になった元大統領候補は、レーガノミックス主体の、時代から浮いた自説を展開した。それでも久々の登場に、複数のメディアから、「トランプをどう思うか?」と取材を受け、「他の候補にないものを持っている」と語った・・・