ドイツでなぜテロが起きないか
「ナチス・東独」仕込みの諜報網が機能
2016年1月号
「二〇一六年はドイツが危険だ。情報機関の実力が試される年になる」
フランスの情報機関関係者はこう語る。一五年、フランスはテロに始まりテロに終わった一年だった。一月には風刺紙社襲撃を皮切りに連続テロが発生し、十一月には死者百三十人の惨劇が起きた。〇一年の米同時多発テロ以降を見ると、スペインや英国で大規模なテロが発生しているが、欧州最大の経済大国であるドイツでは大きな事件は発生していない。日本の防衛省関係者が語る。
「ドイツは連邦情報局(BND)を筆頭とする情報機関の実力が優れている。特に国内の監視網については他国を圧倒する」
CIAを凌ぐ実力とも
同国の情報機関は、BNDのほか、防諜や公安機関の性格を持つ「連邦憲法擁護庁(BfV)」、サイバー対策や暗号解読を行う「連邦情報セキュリティー庁(BSI)」が知られる。さらに、軍も独自の情報機関をいくつか持っている。
一般的にBNDが対外諜報、BfVが対内諜報を担っていると思われているがそれほど単純ではない。前者が首相府の外局として設置され、後者が内務省傘下に置かれていることをみてもわかる通り、B・・・