バブル景気の米国「銃器メーカー」
乱射・テロが「追い風」という異常社会
2016年1月号
米カリフォルニア州サンバーナーディーノで起こった銃乱射事件は、「イスラム国(IS)」が国内深く潜入したとして、大きな衝撃を与えたが、誰でも容易に殺傷力の高い銃を入手できる米社会のいびつさが改めて表面化した。それどころか、銃業者は「乱射が増えるほど、銃が売れてボロ儲け」という状態だ。昨年は銃販売が史上最高水準を記録した。
「これ(乱射事件)を当たり前のことだと考えないでほしい。他の国ではこんなに頻繁には起こらない」。オバマ大統領は乱射事件の直後、銃規制の必要性を改めて訴えた。銃規制は大統領の一貫した主張だが、皮肉なことに彼が規制を訴えれば訴えるほど、銃業界は潤う。米国には現在、三億丁以上の銃が出回るとされる。オバマ政権下の七年間だけで「少なくとも一億丁が購入された」との報道もある。
株価は七年間で十倍に
このからくりを解く前に、米国で乱射がいかに「当たり前」に起きるのかを見てみよう。
銃乱射事件を「銃撃で四人以上が被害者(負傷のみも含む)となった事件」と定義すると、二〇一三年は三百六十三件、一四年は三百三十六件あった。一五年は十二月のサンバーナ・・・