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史上最大「人民解放軍改革」の成否

習近平「一極集権」への大勝負

2016年1月号

「早ければ新年から人民解放軍は指揮系統を一新する。軍史上最大の改革が実行され、解放軍は戦う軍隊に変身する」―香港紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」のスクープは昨年十一月初めのことだった。国家主席と共産党の中央軍事委員会主席を兼ねる習近平が直接、軍権を握るため、陸、海、空、第二砲兵各軍司令部を統合した統合参謀部を作り、腹心の蔡英挺・南京軍区司令官を抜擢するという。軍閥割拠の解放軍を解体して、習近平の近衛軍に改編しようとしている。  政権の座に就いた習近平は、李克強首相の担当する経済改革の権限を奪って、自分の握る党中央改革全面深化指導小組の管轄にした。解放軍に対しては、「腐敗したトラを狩る運動」という名目で解放軍の利権の頂点にいた二人の前軍事委副主席、徐才厚、郭伯雄を失脚させたが、それも軍を丸ごと自分のものにするための布石だった。  だが、軍歴も軍功もない習近平が軍閥割拠の独立王国のような解放軍を相手にそんな荒業ができるとは思えない。香港紙の報道は軽視されていた。ところが十一月下旬、習近平は党中央軍事委改革工作会議を開き、軍改革深化指導小組の組長として「解放軍史上最大」・・・