米国に謎の「電気自動車メーカー」登場
中国による「技術と人材」収奪の最前線
2016年1月号
ファラデー・フューチャー―という聞いたこともない企業が、プロトタイプの発表はおろか、CEOの名前も公表せずに、突如として電気自動車(EV)製造のための巨額の新工場建設を発表したのは、昨年十一月のこと。米国メディアは大騒ぎになった。
EVベンチャーを成功させることの難しさは、二〇一五年七―九月の売上高純損失率が二四・五%に達したテスラ・モーターズを見て誰もが知るところであり、様々なベンチャーが乱立した時期は過ぎ、淘汰されたはずだった。なのに、得体のしれないベンチャーであるファラデーが、新工場に十億ドルもの投資ができるのはなぜか。その先の資金繰りのメドは立っているのか。背後で何者かが支援していなければ不可能な話だ。「次世代自動車開発を進めるアップルではないか」といった揣摩臆測が駆け巡ったが、事実は違った。ファラデーは、中国の「ある人物」のものだったのだ。その先に透けてみえるのは、ベンチャー企業を前面に立てての巧妙なゲリラ戦略で攻勢を仕掛ける、中国「次世代」自動車業界の野望である。
背後に「楽視網」なる企業
カリフォルニア州ロサンゼルス郊外ガーデナ市。〇・・・