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経済

国際帝石は「コスモ石油」を拾うか

賛否両論の「統合構想」が進行中

2016年1月号

 昨年一気に進んだ石油元売り業界の再編劇。国内首位のJXホールディングス(HD)と三位の東燃ゼネラル石油が二〇一七年四月をメドに経営統合することで基本合意、二位出光興産と五位昭和シェル石油も今年前半、出光がまず昭シェル株を三三%取得した後、同十月から一七年四月までの間に統合新会社を発足させることで合意した。  そんななか大手で独り取り残される形となった四位、コスモエネルギーHD(旧コスモ石油)の苦境が一段と深まっている。原油価格続落が直撃し、一六年三月期の上期(一五年四~九月)決算は営業損益が当初の二百六十億円の黒字予想から三十四億円の赤字(前年同期は百二十七億円の黒字)に転落。最終損益の赤字幅も百七十四億円強(同百五十三億円の赤字)に拡大した。 「一強一弱一番外」。一連の再編が完了すればJX―東燃ゼネ連合の売上高は単純合算で十四兆円を超え、出光―昭シェルも八兆円に迫る。三兆円強のコスモは上位陣に大きく水をあけられることになるとあって、市場関係者の間ではこんな失笑も漏れる。 「今度ばかりは許されない」  コスモにとって何より深刻なのは、財務基盤の一・・・