JR東日本「技術劣化」の惨憺
経営陣の「人命軽視路線」は続く
2016年1月号
「再発防止に努める」
東日本旅客鉄道(JR東日本)の冨田哲郎社長が述べるこの言葉ほど空虚なものはない。
同社では事故とミスの連鎖が止まらない。乗客の命を預かる鉄道事業において、一度のミスさえ命取りになりかねないにもかかわらず、同社で同じようなことが続くのはなぜか。旧国鉄で最も優秀なエンジニアを引き継いだはずの安全への高い意識は失われ、社内コミュニケーションはずたずたに寸断されている。経営陣に染みついた安全軽視思想はもはや致命的とさえいえる。
世代間の隔絶が深刻
東京駅の地下には、華やかな地上とはイメージが全く逆の薄汚い横須賀線地下ホームがあり、トンネルの壁から漏れ出た地下水が、滝のように音を立てて流れる場所がある。大量の水漏れはポンプを使い地上にくみ出している。
十二月八日、このポンプが泥で詰まり、横須賀線を止めた。地下三十五メートルにある東京〜新橋間の線路は冠水し、横須賀線が十二時間半運休したのである。JR東は、ポンプの検査は定期的に実施していたと言うがそれさえ怪しい。新橋駅の地下ホームには、まるで幽霊屋敷のよ・・・