税金の「墓場」宇宙開発事業
「国産ロケット」の真っ暗な近未来
2016年1月号
人類の〝夢〟―、それがこの世界の決め台詞である。
「大きな夢の前では大企業も中小企業もない。力を合わせて純国産ロケットを打ち上げませんか!」
TBS系の連続ドラマ『下町ロケット』(原作・池井戸潤)が好評のうちに終了した。かつて宇宙開発に携わった中小企業社長が試練を乗り越え、三菱重工がモデルの「帝国重工」へロケット部品を供給する物語は、直木賞受賞の原作の話題性とも相まって高視聴率を続けた。とりわけ、部品供給を勝ち取る前半のヤマ場の第五話は、二〇一五年十一月十五日に放送され、平均視聴率二〇・二%と一五年の民放ドラマ二位を記録した。
その大団円で、やや演技過剰の阿部寛が大向こうを唸らせた台詞が、この“夢”なのだ。
奇しくも九日後の同二十四日、三菱重工業はカナダの通信衛星を搭載したH-ⅡAロケット二十九号機の打ち上げに成功、悲願の商業衛星市場へ参入を果たした。さらに十二月十一日には、国際宇宙ステーション(ISS)に五カ月滞在した宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙飛行士、油井亀美也が無事帰還し、メディアが盛んに囃し立てたのは周知の通り。ドラマさながらに“夢”は・・・