選挙向け「大衆迎合政治」の一年
「衆参同日」自公栄えて国政歪む
2016年1月号
政権内部の権力構造は複雑極まりない。ましてや個々の政治家同士の力関係は余程のことがなければ外部からは見えてこない。ただし、ごく稀に想定外のきっかけで内部構造がくっきりと浮かび上がることがある。軽減税率の導入をめぐる与党内の権力闘争はまさにそれだった。自民党内だけにとどまらず公明党内及び支持母体の創価学会の内部対立も絡みあった抗争劇は血しぶきが上がるような苛烈なものとなった。
十二月九日午前、首相安倍晋三は親しい自民党幹部に電話を入れた。
「このまま軽減税率の問題は収まるでしょうか」
「もうここまで来れば総理に出ていただくほかはありません」
菅の背後に創価学会選挙担当者
二〇一七年四月に消費税率を現行の八%から一〇%に引き上げる際、同時に公明党が要求した軽減税率を導入することは決まっていた。しかし、その対象品目の範囲をどうするかについては自民党幹事長谷垣禎一と公明党代表の山口那津男の間で激しい綱引きが続き、一向に出口が見えずにいた。
軽減税率問題が自公間の懸案に浮上したのは九月初旬。安倍は財務相経験者でもある谷垣と公明党幹・・・