内閣支持率が持ち直したとはいえ、アベノミクスに喝采した頃の積極的支持は霞んで、

「代わりがいないから」

　という消極的支持に入れ替わり惰性で続く安倍内閣に対しては、政界にも当然「次」を模索する動きはある。

　本来あるべき野党への政権交代が望めない以上、それは自民党内で起きるしかないが、反主流派も抱き込む総力体制と違って、敵・味方を峻別する一強体制下では、理念や政策や方法論の衣をまとって遠回しに表れる。

「安保から経済へ」

　口火を切ったのは谷垣禎一幹事長である。岸信介元首相の安保条約改定で国論が二分した後を、「寛容と忍耐」の池田勇人元首相が継ぎ、高度経済成長による国民統合路線に切り替えた故事を引いて安倍晋三首相に

「あなたがおじいさんの役だけじゃなく、池田さんの役も果たして下さい」

　と進言し、その通り安倍は「新三本の矢」「一億総活躍社会」を打ち出した。

　この時、「私もお手伝いします」と言って留任した谷垣に、・・・