「お笑い番組化」する米大統領選挙
政治水準の低下止まらぬ「世界最強国」
2015年12月号
アメリカ大統領選が、「リアリティーTV」の様相を強めている。候補者乱立の共和党では、自らバラエティー番組を持つドナルド・トランプと黒人の元神経外科医ベン・カーソンが、ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事らプロの政治家たちを大きく引き離したまま、候補者選びの選挙に突入する情勢だ。あまりに低次元の展開に、「米国の政治体制」そのものを疑う米国民が急増している。
深刻なニュース離れ
注目度ナンバーワンのトランプにとって、十一月は「イスラム教徒叩き」で終始した。パリの同時多発テロ事件をきっかけに、「全米のモスク(イスラム教礼拝所)を監視しなくてはならない」「9・11同時多発テロ事件の惨劇に、ニュージャージー州に住むアラブ人たちは狂喜していた」などと、放言を連発した。人権団体が「あからさまな人種差別」と抗議しても、トランプは発言を繰り返すだけ。十一月二十二日放送のABCニュース番組では、キャスターのジョージ・ステパノポロスの質問を一蹴した。
「警察は、(アラブ人が喜んだという)事実はないと言っていますよ」
「私は見たよ、テレビでね」
米国中のメディアが・・・