《クローズ・アップ》大宮英明(三菱重工業会長)
「飛行機とロケット」好事魔多し
2015年12月号
十一月十一日、名古屋近郊の小牧空港の滑走路を一機の見慣れない中型旅客機が離陸した。軽快なエンジン音を残して青空に溶け込む危なげない離陸だった。三菱重工業が独自に開発、製作した「三菱リージョナルジェット(MRJ)」である。五十三年前に同じ小牧空港で初飛行を行った「YS–11」以来となる国産旅客機の実現にこぎ着けた立役者は大宮英明会長(六十九歳)といっていい。
東京大学工学部航空工学科出身。三菱重工業入社後、名古屋航空宇宙システム製作所で三十年を過ごした根っからの飛行機屋。自衛隊向け航空機開発に携わり、三菱重工が社運をかけて取り組んだMRJプロジェクトを経営の立場で推進した。初飛行の現場に立ち会い、「幼稚園に初めて通う我が子を見送る気分」と語る姿にはMRJを育て上げたという心情が表れた。
日本単独、しかも三菱重工一社での旅客機開発には当初、懐疑的な見方が多かった。旅客機製造の世界をみれば、大型機では米ボーイングと欧州エアバス、中型機ではブラジルのエンブラエルとカナダのボンバルディアがそれぞれ市場を固めており、新規参入が難しいこと・・・
東京大学工学部航空工学科出身。三菱重工業入社後、名古屋航空宇宙システム製作所で三十年を過ごした根っからの飛行機屋。自衛隊向け航空機開発に携わり、三菱重工が社運をかけて取り組んだMRJプロジェクトを経営の立場で推進した。初飛行の現場に立ち会い、「幼稚園に初めて通う我が子を見送る気分」と語る姿にはMRJを育て上げたという心情が表れた。
日本単独、しかも三菱重工一社での旅客機開発には当初、懐疑的な見方が多かった。旅客機製造の世界をみれば、大型機では米ボーイングと欧州エアバス、中型機ではブラジルのエンブラエルとカナダのボンバルディアがそれぞれ市場を固めており、新規参入が難しいこと・・・