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経済

国家観なきトヨタ章男の「独善経営」

下請け搾取と「節税」に励む日本一企業

2015年12月号

 またも御曹司の失言だ。舞台は二〇一五年十一月五日に総理大臣官邸で開かれた、第二回「未来投資に向けた官民対話」。豊田章男トヨタ自動車社長が、自社をはじめとする史上最高益を上げた大企業から一層のコスト削減を強いられ、雇用すらままならない下請け企業の困窮問題について「さらに実効の上がる中小企業支援策をご検討いただきたい」と発言し、政府に丸投げしたのだ。  財界関係者は「政府は大企業に設備投資や下請けへの利益還元を強く求めており、あまりにも不用意な発言だった」と懸念した。悪い予感は的中するもので、同十六日に官民対話を主導する甘利明経済再生担当大臣が「企業収益が過去最高水準なのに設備投資をしない経営判断はいかがなものか」と、大企業を公然と批判する。  官民対話の場では激しい議論にならなかったものの、豊田社長の「丸投げ発言」のあとに、中小企業の利益代表である日本商工会議所の三村明夫会頭が「トヨタには取引価格適正化の継続をお願いしたい」と、調達価格の一律値下げ要請を牽制。「史上最高の利益を上げている世界最大の自動車メーカーとしての自覚の乏しさを露呈することになった」と、全国紙の官邸担当・・・