サムスンにスマホ事業「日本撤退説」
「次期会長」のリストラ策の一環か
2015年12月号
「サムスンは国家なり」―。韓国の国内総生産の四分の一を稼ぎ出すといわれたサムスングループの中核を担うサムスン電子(以下サムスン)の減速傾向を止める切り札がない。李健煕会長の消息はようとして聞こえぬ中、実質的なトップとして巨大財閥を切り盛りする長男の李在鎔副会長の苦戦が続く。ここにきて父親の李会長がこだわってきた日本市場からの一部撤退観測も浮上しており、急拡大してきたサムスンは大きな曲がり角に立っている。
「たしかに頭脳明晰で能力はある人間だ。しかしそれが経営手腕とは直結するわけではない」
李副会長を直接知る韓国の財界人はこう語った。ソウル大学に在学中の一九九一年にサムスンに入社した李氏は、その後、慶應義塾大学とハーバード大学で経営学を学んだ。秀でた能力を持つことは確かだが、「リーダーシップが足りない」(前出財界人)と韓国では言われる。サムスンを強権的に掌握し世界企業にまでのしあげた父親と比較されるのだから憐憫の情が湧くが、病床の李会長が実質的に機能しない中で立ち止まっている暇はない。
「李在鎔時代」に向けた布石
今秋発表されたサムスンの二〇一五・・・