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経済

JX「東燃ゼネラル吸収合併」はなるか

悲喜こもごもの業界再編「最終章」

2015年12月号

 グループ社員三千人の胸奥には、失望と怨嗟が渦巻いている。 「社長はいったい何を言っているんだ!」  十一月十七日、JR品川駅近くのホールで開かれた東燃ゼネラル石油の従業員フォーラム―。参集した本社社員二百人をはじめ、会場とテレビ会議で中継された全国四カ所の製油所の社員は、登場する武藤潤社長を固唾を呑んで見守っていた。なぜなら、前日十六日付の日本経済新聞が一面トップで、石油元売り最大手、JX日鉱日石エネルギーを傘下にもつJXホールディングス(HD)と東燃ゼネの経営統合を報じていたからだ。  しかし、武藤氏は「報道に驚いている」「何も回答できない」と韜晦に終始、苛立つ社員からは「JXとの経営統合には反対です」と異議が唱えられた。これに対し、武藤氏は「再編は手段であって目的ではない。安定供給の目的を達成するうえで大事なのは“理念”」と語り、自ら温めた数カ条の経営理念を披露した。反社会的勢力との交際禁止などを謳ったそれは、パンフレットにされ、「職場で議論するように」と促したという。ある幹部は天を仰ぐ。 「会社がなくなるかもしれない正念場に『理念が大事』とは、浮世離れも・・・

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