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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》地方テレビ局「淘汰・再編」(下)

在京キー局が描く「極秘シミュレーション」

2015年12月号

「二〇一五年度上期、約十億円の営業赤字」

 十月三十日にフジテレビが発表したショッキングな決算内容に、放送業界は大きく揺れた。五年前まで七年連続で視聴率三冠王、営業収入トップの座を不動にしていたフジテレビの凋落ぶりにテレビ業界の暗雲を感じたのだ。東京のキー局が躓けば、系列局はもんどりうって転ぶ。

「フジの発表の二日後に出た『選択』が地方局再編を取り上げ、大きな話題となった。局内にはコピーが出回り、地方局の淘汰が現実味を帯びてきたことを皆が切実に感じた」

 福岡県のある民放中堅社員はこう語る。本誌十一月号の日本のサンクチュアリ「地方テレビ局『淘汰・再編』(上)」ではキー局から地方局に支払う「配分電波料」に依存する民放経営の歪みや、地方局の苦境などを取り上げた。しかし、地方局が抱える問題はそれだけではない。


「県域制度が壊れたら終わる」


 十一月二日、総務省で有識者会議「放送を巡る諸課題に関する検討会」の初会合が開催された。高市早苗総務相が主催・・・