自民党が狙うテレビ局「完全支配」
報道への「政治介入」合法化を画策
2015年12月号
安倍晋三の首相返り咲きから三年が経過する。この間、再び官邸に戻った安倍は、第一次政権の轍を踏まぬようメディアとの関係に細心の注意を払ってきた。「メディア・コントロール」と批判を受けようとも報道監視に腐心してきた安倍官邸と自民党が、直接的に報道を監督下に置こうと動き出している。特にテレビの放送内容への「介入」を容易に行うための準備が着々と進んでいる。
「菅官房長官がとにかく強硬だ」
今回の放送倫理・番組向上機構(BPO)の件について総務省幹部の一人はこう語る。BPOは十一月六日に公表された意見の中で、NHKの「クローズアップ現代」の放送に関連し、総務省の行政指導と自民党による事情聴取が行われたことを厳しく非難した。これに政府・自民党からは一斉に反発が出たが、中でも急先鋒といえるのが官房長官の菅義偉だという。
「公的監督機関」設置を目論む
菅は、第一次安倍政権時代の二〇〇七年にも放送への介入を画策して失敗している。菅が総務大臣を務めていた当時、関西テレビの情報番組で捏造したデータを放送する事件があった。菅は総務相名で関テレに指導を行い、最終的に当・・・