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WORLD

テロ地獄「世界の黙示録」

いつでもどこでも「惨劇」が起きる時代

2015年12月号特別リポート

 ハーバード大学教授だった故サミュエル・ハンチントン氏が世界的なベストセラー『文明の衝突』を書いたのは一九九六年だった。同氏は世界の文明を西欧、中国、日本、イスラム、ヒンドゥー、スラブ、ラテンアメリカ、アフリカの八つに分け、このうち西欧文明を「普遍的」と見るのは誤りだと指摘した。「米国の指導者は、疑似戦争にたずさわるイスラム教徒は少数派で穏健なイスラム教徒の大多数は彼らの暴力を非難していると主張している。そのとおりかもしれないが、それを裏づける証拠はない。反西欧の暴力に対する抗議の声は、イスラム教徒の国々では全く聞かれない」との断定は二十年経った現在では通用しないだろう。

 だが、二〇〇一年九月十一日に米国で発生したアルカーイダによる同時多発テロは、国際テロ組織が国際社会に一大衝撃を与え、国際秩序を狂わせてしまうことを証明した。オバマ政権は中東への介入の反省のもとに誕生した。大統領自身が「米国は世界の警察官にならない」と宣言したことにより中東、アジア、欧州における紛争は頻度も速度も上がっている。無気味にも国際テロは絶え間なく発生する。テロと国際政治は連鎖反応しなが・・・