続・不養生のすすめ59
フレイルをめぐる混乱②
柴田 博
2015年11月号
前回〝フレイル〟という用語が、二〇一四年の日本老年医学会ステートメントをきっかけにして世の中に広まっていることを述べた。しかし、四半世紀前に生まれたfrailtyという用語の日本語訳虚弱(名詞)をフレイル(形容詞)というカタカナ語にすることにより、歴史性が無視され、新しい概念であるような錯覚を与えてしまった。これは学問上の混乱とスノビズム発生の原因となる。
前回は、日本老年医学会がなぜ、虚弱という名詞のバックトランスレーションの用語としてフレイルという形容詞を勧めているのか不明であると述べた。これが混乱の一因であることは否めない事実である。しかし、このステートメントのもっと大きな問題点はほかにある。
前回、筆者の作成した高齢者生活機能の正規分布モデルを示した。この中に虚弱がふくまれている。このモデルは一九八〇年のシュロックのモデルを改変したものである。シュロックの時代には虚弱という用語は存在せず〝要支援〟となっているが、同じ概念なので筆者のモデルでは一九九〇年代に登場した虚弱という用語を用いた。要支援と虚弱は同一の生活機能レベルである。・・・
前回は、日本老年医学会がなぜ、虚弱という名詞のバックトランスレーションの用語としてフレイルという形容詞を勧めているのか不明であると述べた。これが混乱の一因であることは否めない事実である。しかし、このステートメントのもっと大きな問題点はほかにある。
前回、筆者の作成した高齢者生活機能の正規分布モデルを示した。この中に虚弱がふくまれている。このモデルは一九八〇年のシュロックのモデルを改変したものである。シュロックの時代には虚弱という用語は存在せず〝要支援〟となっているが、同じ概念なので筆者のモデルでは一九九〇年代に登場した虚弱という用語を用いた。要支援と虚弱は同一の生活機能レベルである。・・・