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政治

「安倍応援団」 内部に走る亀裂

不満募らせる「右派人脈」の実情

2015年11月号

 第三次改造内閣を発足させた安倍晋三首相は安全保障関連法や環太平洋経済連携協定(TPP)への批判を封じ込め、髙木毅復興相の週刊誌報道に象徴される閣僚のスキャンダルで集中砲火を避けるため、臨時国会を開かないという小手先の手段で沈静化を図った。だが、その陰で首相の応援団の中核と言える保守系の学者や団体、議員からは弱腰の姿勢に不満と失望が広がり始めた。保身の政権運営と引き換えに、首相は大きな代償を払うことになった。  保守の思想と理念を売り物にしてきた安倍のキャッチフレーズは、かつて「戦後レジームからの脱却」だった。その眼目は改憲に加え、日本だけを悪玉に仕立てた「東京裁判史観」の否定だ。しかし、安倍が八月に発表した戦後七十年談話は歴代内閣が謝罪を続けてきたと紹介しながら「おわびの気持ち」を明示し「歴代内閣の立場は今後も揺るぎない」と追認してしまった。一九三一年の満州事変以降の日本を「進むべき針路を誤り、戦争への道を進んだ」と総括して、先の大戦への「深い悔悟の念」にも言及した。 お題目と化した「憲法改正」  そんな安倍に対する保守派の不満の堆積が、ついに決壊した・・・