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どん詰まりの「習近平外交」

アジア・太平洋での「苦境」が鮮明に

2015年11月号

 四百億ポンド、日本円に換算して約七兆四千億円。中国の習近平国家主席が十月下旬の英国訪問時に持参したビジネスの総額だ。  英国は最高の敬意を示す百三発の礼砲で歓迎し、笑みをたたえたエリザベス女王がバッキンガム宮殿で宴会を開いた。宮殿の外では近衛騎兵隊が赤旗をかたどった旗さしものを背負って行進した。旗には簡体の漢字が一文字白く染め抜かれ、整列すると「習、主、席、您、好」(習主席、こんにちは)になった。英国人には意味不明だが、中国人には習の威信が欧州にとどろいているように映る。  習近平個人の威信を際だたせる演出は習サイドの希望だったのだろう。中国では習近平の視察先に「習大大你好」の横断幕を掲げさせている。  十月末、党中央委員会全体会議(五中全会)を終えると、習政権は事実上、二〇一七年の再選準備に入る。それなのに習近平にはまだ独裁国家の指導者にふさわしい国際的、国内的な威信が確立できていない。それが統治の不安定要因になっている。  訪英前、中国が一番気にしたのは英国からチベットなど人権抑圧を持ち出され面目をつぶされることだった。巨額商談・・・