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トルコが巻き起こす「中東激震」

親ロシア「強権路線」で大混乱に

2015年11月号

 トルコで今年二度目の総選挙が十一月一日に行われる。エルドアン大統領の与党「公正発展党(AKP)」はまたも過半数に届かない情勢の上、国内の分裂は六月の総選挙時よりも先鋭化している。手詰まりのエルドアン政権は、対露協調など独自外交に活路を求める見通しで、トルコは北大西洋条約機構(NATO)から離れ、行く先不明の漂流状態に陥る。  大統領の番頭アフメト・ダウトオール首相にとって、野党・人民民主党(HDP)のセラハッティン・デミルタシュ党首は、我慢ならない男だ。同党は六月の総選挙で、クルド人を支持母体とする政党としては初めて、議席獲得に必要な得票率一〇%の壁を破った。若くて精力的な党首は、AKPを過半数割れに追い込んだ張本人だ。その男が十月十日に首都アンカラで起こった、トルコ史上最悪の自爆テロ事件について、「国家は直接の責任を負う」と、政府を糾弾した。彼は「政府が仕組んだ」とは言わないが、政府関与を示唆する点で、首相には耐え難い響きを持つ。 「鏡を見てみろ。その中の自分こそ、殺人者ではないか」と、首相は反撃した。クルド人の反政府感情をあおったことこそ悲劇の原因という論法だ。怒りが・・・