中国「三十万人軍縮」の危険な賭け
「将兵大量解雇」で高まる政情不安
2015年11月号
中国の国家主席であり党中央軍事委員会主席を兼ねる習近平が、九月の抗日戦争勝利七十周年記念式典の演説で人民解放軍の三十万人削減を突如として打ち出し、将校を中心に怒りが渦巻いている。習は「平和的な狙い」をアピールするが、軍縮の主たる対象は習と反目する軍幹部の出身区で、現実には粛清の色彩が濃い。その思惑を見抜く軍長老は軍縮に対抗しようと策動する。一石二鳥を目論んだ習の策略は墓穴を掘りかねない。
軍長老の反旗は習の演説から程なくして表面化した。十月二十一日昼過ぎ、北京市の中国人民革命軍事博物館に黒塗りの高級自動車が次々と到着した。「第一回上将書画展」の開幕式に参加するためで、于永波、李継耐、梁光烈ら軍長老の上将が一堂に会した。
中国軍の最高階級は元帥、次は大将だが、すでに全員が物故。現在の事実上の最高位は上将で、現役は三十八人、退役上将で存命しているのは百人前後だ。中国では引退した軍指導者も現場に大きな影響力を持つ。つまり、集った上将は二百三十万人を擁する中国人民解放軍という巨大なピラミッドの頂点に立つ面々なのだ。
この書画展は、江沢民元国家主席の側近で軍人事部門のト・・・