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経済

商船三井「子会社抹殺」の非道

「中国依存」経営の重すぎる代償

2015年11月号

 国内海運五位の第一中央汽船が九月末、民事再生法の適用申請に踏み切った。四期連続の赤字で資金繰りに窮し、銀行に見放されたうえでの選択だった。負債は一千七百六十四億円と大きいものの知名度の低い海運会社の経営破綻。平時ならば気にも留められないはずだが、国内外で注目された。事実上の親会社である商船三井が救済を拒んだことで、中国など新興国経済の暗転による今回の海運不況がかつてない深刻なものになりつつあることを感じさせたからだ。 「リーマン・ショック後の積極的な船隊の拡大が裏目に出て、歴史的な市況の低迷に耐えることができなかった」。第一中央汽船の経営破綻発表の記者会見で、薬師寺正和社長はアナリストのような口ぶりで自社の失敗理由を語った。当事者意識がほとんど感じられない薬師寺社長は商船三井の副社長、副会長を経て、二〇一二年六月に社長に就任した。  第一中央汽船は薬師寺社長まで商船三井出身者が四代連続でトップを務め、小出三郎前社長は第一中央汽船を退任後、商船三井顧問に復帰している。商船三井は一六・六%を出資する筆頭株主という以上の深い関係を持っているのは人事をみれば明らかだ。 狙い通りの「トカゲのしっぽ切り」・・・