TPP大筋合意という「茶番劇」
通商外交「虚構の成果」の正体
2015年11月号
マラソンに例えるならば、途中棄権を何とか乗り切って、中間の折り返し点をよろめきながら通過したところ―、ではないか。
日本や米国など十二カ国が参加している環太平洋経済連携協定(TPP)交渉は、十月初め、米ジョージア州アトランタで開いた閣僚会合で大筋合意した。日本では、連日のように「即時撤廃」と、あたかも明日にでも関税が撤廃されるかのように大はしゃぎしている。しかし協定が実際に発効するかどうかは、まだまだ不確実だ。
閣僚会合では、発効の条件として六カ国以上が批准し、それらの国内総生産(GDP)の合計がTPP域内GDPの八五%以上を占めることを確認した。この、過半数でも、三分の二でもない「八十五」という数字は実に微妙だ。米国(GDP比で約六〇%)と日本(同約一七%)の両方が批准しない限り発効しないことを意味するからだ。そして現段階で、肝心の米国では批准どころか、いつから連邦議会でTPPを議論するのかさえ見通しが立たない。
再交渉の可能性も
米議会では野党共和党が上下両院を支配し、与党民主党を支持する労働組合は、TPPに対する批判を一段と強めている・・・