三井不動産の深すぎる「病巣」
罪作りな安全軽視「売り逃げ」商法
2015年11月号
住宅は人生で最大の買い物だ。念願の我が家の価値が欠陥の判明で暴落したり、居住も売却もできず紙くず同然になったりすれば、その精神的なショックは計り知れない。多くのマンションの耐震偽装が発覚した「姉歯事件」から今年で十年。似た例は後を絶たないが、今回発覚した横浜のマンション傾斜問題は三井不動産という「高級ブランド」が内包する病巣を白日の下にさらした。この会社の体質こそマンション傾斜・偽装の底流にあり、同様のケースがまだ表沙汰にならないまま、数多く埋もれている可能性が高い。
「今の状態でも震度七の地震に耐えられる」「補修工事を行えば初期の性能を得てマンションの価値も下がらない」。担当役員らは当初、住民にこう強弁していたというのだから呆れ返るほかない。
三井不動産傘下のマンション開発大手、三井不動産レジデンシャルが二〇〇六年から分譲を開始した「パークシティLaLa横浜」で九月、多数の杭打ち不正や強度偽装が行われていたことが発覚した。しかし、十月に入り新聞報道などで事の顚末が報じられるまで、三井不レジデンシャル側は住戸の買い取りや建て替えといった住民からの補償請求を・・・