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「南シナ海」オバマの遅すぎる決断

中国・ロシア「二正面作戦」の及び腰

2015年11月号特別リポート

 オバマ大統領が、南シナ海・スプラトリー(南沙)諸島の中国による人工島から十二カイリ以内にイージス駆逐艦を送り、哨戒活動の「航行の自由」作戦を実施したことに高い評価を下すメディアは少なくないが、それまでにホワイトハウスはどれだけ慎重だったか。一方、ロシアがシリアのアサド政権維持のため「イスラム国(IS)」を攻撃するとの名目で行った軍事介入はまる一カ月で既成事実と化してしまった。

 なるほど、オバマ大統領はレガシー(遺産)として、ミャンマーの民主化、キューバとの国交正常化、イランとの核合意、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の大枠合意を挙げる。が、軍事面での無為無策は戦後の大統領の中でも際立っている。ブッシュ前大統領の「二つの戦争」を止めてみせると公言して大統領になったはずのオバマ大統領は十月十五日にアフガニスタン駐留米軍撤退断念を発表した。大使館警備などに当たる一千人を残して二〇一六年末までに現在の九千八百人の兵力を完全に引き揚げる予定だったが、五千五百人の兵員は残留させることになった。イラクには依然として三千五百人が軍事顧問として派遣されている。
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