西風 413
成算なき「万博誘致」
2015年10月号
「五輪は来ないけど万博は来た」。五輪招致レースで敗れ続けてきた大阪人の負け惜しみのようなものだが、万博を誇りに思う気持ちに噓偽りはない。
大阪府の松井一郎知事が九月九日から十三日まで、イタリア・ミラノの万国博覧会を視察した際、パリにある博覧会国際事務局(BIE)を訪れ、二〇二五年に万博を誘致する意向を伝えた。
このニュースに大阪府民のほとんどが「本気やったんかいな!」と驚いた。松井知事は昨年から万博誘致を口にしていたが、知事の単なる「願望」か、ちょっとした「冗談」程度に受けとめる府民がほとんどだった。
一九七〇年に大阪・千里丘陵で開催された大阪万博は六千四百万人以上という空前の集客を記録した。二〇一〇年に中国・上海万博に抜かれたものの万博史上二位の観客動員数で、関西にとっては最大の「成功体験」だった。
十一月に知事選挙を控える松井氏は、万博誘致で有権者の気を引きたいのだろう。大阪維新の会の経済振興策はカジノを含む総合リゾート施設の誘致程度しかなく、「都構想一辺倒で経済政策がない」と批判されてきた。
その回答が万博誘致だとすれば、大阪・・・